インフルエンザとは? パート1

今回は、これから流行するインフルエンザについてのお話をさせていただこうと思います。

  1. 風邪と何が違うの?〜インフルエンザの症状と特徴について〜
  • 通常の「風邪」の症状

通常「風邪」と呼ばれているのは、急性の上気道の炎症です。
様々な菌やウイルス(ライノウイルスやコロナウイルスなど)によって起こります。よほど健康に自信のあるかたでなければ、通常の風邪は一年に数回程度かかってもおかしくありません。流行する時期は冬がピークになりますが、夏風邪など気候の変化や冷えをきっかけに、一年を通して風邪をひく可能性があります。

 風邪を引き起こす菌やウイルスは多くの種類があるので、症状は病原菌によって異なります。ただ多くの場合、発症はインフルエンザに比べて穏やか、熱の上がり方も緩やかで、だいたい37℃から38℃台の前半くらいまでにとどまることが多いようです。

【風邪の主な症状】
  ・鼻水 のどの痛み 咳 発熱 頭痛 消化器症状   など

 

  • インフルエンザの症状

インフルエンザはインフルエンザウイルスによって感染する病気です。
【インフルエンザの病状の進行】
  1.インフルエンザウイルスに感染
  2.約1~2日間の潜伏期間
  3.突然、38℃を超える高熱や関節痛、全身の筋肉痛などの重い症状があらわれる

【インフルエンザの主な症状】
  ・いきなり高熱が出る
  ・悪寒や倦怠感が強い
  ・呼吸器の症状
  ・咳が出て痰がからむ(重い場合は呼吸困難などに陥る)
  ・下痢や腹痛
  ・食欲不振
  ・関節痛、筋肉痛

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  • インフルエンザウイルスの強大な感染力

インフルエンザウイルスはとても感染力が強く、爆発的な流行が見られることがあります。日本では例年12月から3月の間の流行が多くなります。インフルエンザの流行は、健康状態や年齢、地域を問わずどこにでも起こり、特に保育園や学校、病院など、多くの人が集団生活をする場では、一人がインフルエンザにかかると次々に感染し、発症することがあります。

 インフルエンザウイルスの感染経路は主に2つで、「飛沫感染」と「接触感染」があります。「飛沫感染」では、感染者のくしゃみや咳などの飛沫と一緒にウイルスが放出され、それを別の人が吸い込むことで感染します。「接触感染」は、ウイルスが付いたドアやスイッチ、つり革などを触り、その手で自分の口や鼻などを触ることで感染します。
 

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 学校ではインフルエンザのさらなる流行を防ぐため「学級閉鎖」「学年閉鎖」といった措置がとられることもあります。

インフルエンザの怖い点は、症状が重篤になりやすく、気管支炎や肺炎、さらには脳症まで発症する可能性が高いという点です。健康な成人の方であれば、通常、発症から一週間程度で症状が軽減・治癒するとされていますが、子どもやお年寄りなど、あまり体力のないかた、呼吸器系や糖尿病などに基礎疾患のあるかたにとっては、命取りになる場合もあります。インフルエンザには十分な注意が必要です。

 

  • 3種類のインフルエンザウイルス

数あるインフルエンザウイルスの中で、人間に感染するウイルスは大きく分けて3種類あり、それぞれA型、B型、C型と呼ばれています。一口にインフルエンザとは言っても、ウイルスの型によってずいぶん症状や経過が異なります。

【A型インフルエンザ】
 A型インフルエンザウイルスは、他と比べ症状が激しい型です。「インフルエンザ」と聞いて皆さんが想像するような、強烈な症状が出やすい型だと考えられています。通常一度インフルエンザにかかると、回復の過程でそのウィルスに対する免疫が体内に作られますが、A型は全世界的なインフルエンザの流行として話題になることが多く、ウイルスの形をどんどん変えて進化し続けるため、今までに獲得した免疫が機能しにくくなり、ワクチンの予測も立てにくいインフルエンザウイルスです。
  ・38℃を超える高熱
  ・肺炎を含む、深刻な呼吸器系の合併症
  ・ものを飲み込むのが困難なほどの、のどの痛み
  ・関節痛、筋肉痛
  ・脳炎、脳症の合併症を引き起こすことがある

【B型インフルエンザ】
 B型インフルエンザウイルスは、以前は数年単位で定期的に流行しておりましたが、近年は毎年流行しています。A型インフルエンザのように、大きな流行を起こすことはあまりないと考えられています。
  ・お腹の風邪の症状に近く、下痢やお腹の痛みを訴える人が多い
  ・人と人の間でしか感染しない

【C型インフルエンザ】
 C型インフルエンザは、いったん免疫を獲得すると、終生その免疫が持続すると考えられています。再びかかったとしてもインフルエンザだとは気づかず、ふつうの風邪と思ってしまうかもしれません。
  ・ほとんどの大人が免疫を持っているため感染しにくい
  ・かかるのは4歳以下の幼児が多い
  ・感染してもインフルエンザとしてはかなり軽症で済むことが多い
  ・症状は鼻水くらい。ほかの症状はあらわれないことが多い

 

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  • A型インフルエンザウイルスの猛威

A型インフルエンザウイルスは、感染したものの体内でどんどん進化するので、新型のウイルスが次々にできてしまいます。そのため、流行前に作られたワクチンが対象にしていたウイルと、構造が大幅に異なる可能性があります。つまり、一度A型インフルエンザのあるウイルスに対してワクチンができても、ウイルスが他の個体や、ときには別種の動物から発生したウイルスと結合し、より強い病原性を持つ新しいウイルスになってしまう可能性があるということです。
 毎年、厚生労働省指導の元、そのシーズンに流行が予測されるウイルスに合わせて、インフルエンザワクチンが製造されています。予測技術は高まってきているものの、上記記載の通りウイルスはどんどん進化し、製造されたワクチンが対象にしていたウイルスとは別のウイルスに進化してしまうこともあるため、「今年は当たった」「外れた」のような話が出てくるのです。
 特に近年話題になったもので、世界的に流行し、致死率の高さなどで非常に恐れられた「鳥インフルエンザ」「豚インフルエンザ」なども、A型インフルエンザウイルスに含まれます。

 

次回に続く