この時期からも危険‼『熱中症』予防と応急処置

近年、地球の温暖化に伴い春の後半から気温上昇が激しく、真夏日には40℃を超える日々が続くことがあります。そして近年著しく増加しているのが『熱中症』です。

熱中症』はちょっとした注意で防ぐことができます。外出時やレジャーだけでなく、普段から心がけておくと良いことをあげてみますので、参考になればと思います。

熱中症とは】

 

“高温・多湿の環境に身体が適応しないことによって起こる様々な症状の総称”で、進行状況や内臓、身体機能への影響によって、細かく4つに分類されます。 

 

 

暑さによって末梢血管が拡張し、血圧が低下する

血液の循環量が不足し、めまいや失神が起こる

 

  • 熱けいれん

 

大量の発汗によって、ナトリウム量が低下する

筋肉が硬直して、筋肉の痛みやけいれんが起こる

 

 

大量の発汗によって、脱水状態が進行する

体液の不足により、体温が上昇し、頭痛や吐き気、虚脱感が起こる

 

  • 熱射病

 

熱中症の分類の中で最も重症

症状が進行し、体温調節機能が失われる

40度以上の高熱がみられ、発汗が止まり、意識障害が起こる

 

f:id:mokaho_iryou:20160525172331p:plain

f:id:mokaho_iryou:20160525172337p:plain

f:id:mokaho_iryou:20160525172346p:plain

 

最近では、上記のような分類では、実際には見分けは難しく、基準もあいまいであることから、重症度に応じて診断基準を分かりやすくしたⅠ~Ⅲ度分類が適用されることも多くなってきました。

 

Ⅰ度は軽症とされ、熱失神・熱けいれんに当てはまります。

 

Ⅱ度は熱疲労に分類されます。

 

Ⅲ度は重症で、熱射病に当てはまります。

  • 中枢神経症状
  • 肝臓・腎臓機能障害

血液凝固異常のうち1つでも症状に見られる場合、Ⅲ度と診断され、Ⅰ度にもⅢ度にも当てはまらないものがⅡ度と診断されます。

f:id:mokaho_iryou:20160525172448p:plain

適切な対処がなされないと、発症から時間が経つにつれて、進行し重症化していきます。

f:id:mokaho_iryou:20160525172512p:plain

軽度のうちに症状に気が付き、適切な対処をし、症状の進行を食い止めることが大切です。

 

【予防のポイント】

 

熱中症は、応急処置の速さも大切ですが、やはり予防が最も重要です。

予防のポイントは5つです。 5月頃からしっかり準備して熱中症を予防しましょう。

 

1 気温・湿度のチェック


熱中症は高温・多湿の環境に気をつけることが大切ですから、気温と湿度のチェックを怠らず、
室内では、エアコンや扇風機で環境を整えることが必要です。
高温環境を示す数値は「暑さ指数」を参考にするようにします。
気温・湿度・輻射熱から算出する指数で、夏になると毎日予報がでますので、
気にかけて服装などを決めると良いでしょう。

 

2 こまめな水分補給


暑い時は、目に見えなくても多量の発汗により、水分を失っています。
喉の渇きを感じる前に、こまめに水分を補給することが必要です。
特に運動や労働時は、注意が必要です。体を動かしている時は、
15分~20分おきには休憩をとり、水分補給しましょう。

 

3 暑い中での無理な運動を避ける


運動時は熱中症のリスクが高まります。
最も暑い時間の活動を避け、運動時間を短縮するなど、リスク管理が必要です。
普段より多く休憩をとるようにして、体調によっては、中止しなければいけません。
特に運動経験が少ない人は、リスクが高まります。
暑い時に急に運動を始めるよりも、日頃から運動をし、体を慣れさせておく必要があります。

 

4 服装


吸水性や速乾性に優れている通気性の良い素材を選ぶようにしましょう。
体を締め付けすぎないように気をつけ、熱を逃す工夫をします。
淡い色の方が暑さを吸収しにくいので、白などの色を選ぶようにして、
帽子や日傘で日差しを遮るようにします。

5 体調管理


疲労や体調不良が、熱中症の発生リスクを高めます。
寝不足や食生活が乱れないように、日頃から体調管理を怠らないようにすることが大切です。

 

熱中症になってしまったら】

 

熱中症かもしれない、と思ったらまずまっ先にしなければならない基本中の基本を挙げてみたので、いざというときのために、ぜひ、覚えておきましょう。

 

  • 涼しい日陰やクーラーの効いた室内などに移動する
  • 衣類をゆるめて休む
  • 体を冷やす

氷や冷たい水でぬらしたタオルを手足に当てる。

氷や冷たい水がない場合は、タオルやうちわ、衣服などを使ってあおぎ、風を送って

冷やす。

  • 水分を補給する

 

   このとき、水分だけではなく、汗によって失われた塩分も補給する必要があります。

  スポーツドリンクなどを少しずつ何回にも分けて補給しましょう。

f:id:mokaho_iryou:20160525172554p:plain

f:id:mokaho_iryou:20160525172604p:plain

ここまでは、自分でもできる応急処置。軽い症状の場合はこれで良い場合もあるが、気分が悪くなるほどなら、ここから先は、周囲の人にサポートしてもらう必要があります。

あなたの家族や友人・知人が熱中症になったときのことを考えて、ぜひ頭に入れておきましょう。

また、レジャーなどにでかけるときは、タオルや冷たい水を入れた水筒、スポーツドリンクや日陰をつくれるようなパラソル、レジャーシートなどを持参するのもよいでしょう。

 

  • 筋肉がけいれんしているなら(熱けいれん)

けいれんしている部分をマッサージします。また、体の特定の部分(例えば脚など)が冷えているなら、その部分もマッサージしましょう。

  • 皮膚が青白く、体温が正常なら(熱疲労

心臓より足を高くして、あおむけに寝かせます。水分が摂れるなら、少しずつ薄い食塩水かスポーツドリンクを何回にも分けて補給しましょう。

 

  • 皮膚が赤く、熱っぽいなら(熱射病)

上半身を高くして座っているのに近い状態で寝かせ、とにかく体を冷却。首、脇の下、足のつけ根など、血管が皮膚表面に近いところを氷などで集中的に冷やします。氷がない場合は、水を体にふきかけ、風を送って冷やす。アルコールで体を拭くのも良いでしょう。このとき注意したいのは、体の表面だけを冷やしてふるえを起こさせないことです。

 

  • 意識がはっきりしない場合は

反応が鈍い、言動がおかしい、意識がはっきりしない、意識がない。こういった場合はすぐに救急車を呼びましょう。同時に、応急処置をしておきましょう。また、意識がはっきりしない、もしくは意識がない場合の水分補給は厳禁です。また、吐いてしまった場合にのどを詰まらせないよう横向きに寝かせましょう。

 

  • 症状が回復しても必ず病院へ

回復したつもりでも体内に影響が残っていたり、再発のおそれがあります。熱中症になったら、回復した後でも必ず病院で診てもらいましょう

  

熱中症は予防ができる病気です。 

熱い夏を元気に過ごすため、熱中症のことをよく知り、しっかり予防しましょう。 

心臓や腎臓、その他持病をお持ちの方は、夏の過ごし方についてかかりつけの医師 に相談し、上手にコントロールしましょう